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2012年6月23日 (土)

go from the inside

東京に戻ってくると、まぁ、いろいろと大変だ。


僕の活動の半分は演奏に費やされている訳だから、そも練習は当たり前だとして、”企画された演奏を成功させる”という義務を背負わねばならない。


自営業なもんだから、読んで字のごとく”自分で営業をする”、そんな具合だ。


音楽に限らず、芸術作品を売り歩くのは、未開の地にコーヒーを売り歩くのと同じようなことである。
知らないものを知らない人に知ってもらうというのは、新しいものを作っている以上当たり前のことで、これが食べ物なら味わってまずけりゃもう誰も口にしないで終わるが、作品ってのはまず手に取るという初動にまでに持ち込むことすら大変だ。

地下でなんだか怪しげな儀式のように耳なじみのないことをやってても、そりゃ誰も食いつきゃしない。

とはいえ、求められたものだけをやるとろくなことはない。
求める側にも、こう言ったら何だが、程度というものがある。

流行ものを追う人々は提示されるものを享受するだろうから、そもそも新しいものを求めるというよりは、出され続けるものを手に取り続ける。
で、多くはこの層に属しているから、流行ものは流れ、また流行ものに変わる流行ものが生まれる。

ここは自転車操業という訳だ。


しかし、普遍的なものを生み出した場合、何によって普遍的になるかはわからないので、正しく言うと作ったものがうっかり普遍的になる場合、ここにはやっぱり作り出した者の”自営業”がある。


作った本人がその作り出されたものの意味を一番よく理解しているはずだ。
が、たとえそんな雲の上の作家であろうと、それが永続的に愛される代物であるかということまでは知ることはできない。
自己判断は困難だ。


それでも作品を抱き、人前に立つ。
僕はそれが一番大事なことではないかと思う。


作ることに満足するならば、別で財を成し、それを糧として生きていくべきだろう。
あとは気が済むまでつくりつづけりゃいい。

が、僕にとって、作ることが僕を満たす訳ではなく、”作ったものが誰かにあうツールとなる”ことが僕を満たす。

僕は作ったものの先に夢を見る。
だから、演奏をいくらやったって何にも満たされやしない。
今日いい演奏ができたっていったって、もし誰も見てなかったら自己満足にもほどがあると、しょんぼりする。

人前でパフォーマンスすることが好きかと聞かれたら、いつものように”そこまで好きではない”と答えるが、それで人が踊るなら、笑うなら、声を上げるなら、その場を作るギアに自分がなっているのなら、それは大好きだと答える。


自分の音楽の追究はつまり、人とともにある。
例えば何らかの革新的なものを作ったとしても、そこに誰もいなかったら、僕は躊躇せずにあっさりゴミ箱にその譜面を捨てるだろう。


自分の”好きなもの”というのが自分のやりたいことではない。
はたまた、自分の得意なことだけが自分のやりたいことではない。

僕自身が下手であってもビジネスにも芸術にも学問にも僕は興味があるし、そういう意味で社会的でありたいなぁと思う。


落ち着いて何か一つのことに打ち込めるなんてそんな甘ったるい社会ではないから、全ては同時進行で、目が4つか5つぐらいないと周りで起きていることから切り離されるかもしれないというストレスや不安の中でものを作っていかねばならないが、それでもやりたいと思うのだから、その気持ちは本物なんだろう。


ときどき、自分は何をこんなことをいつまでもやっているんだと思ったりもする。
流れに乗っかれば楽なんだろうとも思う。
でも、どうもそれではなんだか生きてる心地がしないようなのだ。


逆説を体現することは難しいことだ。
かっこ良くない場所ででも自分たちのやることはかっこいいと思わせたり、自分に合わないことをやっていてもそれでもマッチさせよと試みることが新しいことに繋がってきたり。


僕はやっぱりそういう冒険が好きだし、仲間もみんなそうならいいのにと思うが、うん、まぁ、難しいことなんだろう。


飽きるくらい連続する安定したミニマリズムを、人は幸せと呼ぶのだし、平和と呼ぶようだから。

万年戦争屋の僕にはきっと一生無縁の言葉だろう。
どこかで野垂れ死にすることになると、そう決まっているようだ。


台風の目が青空をみせるように、そこは安定の場所。
でも僕がいる所は、その少し外側。

自分のコアに戻る時は、自分が死ぬ時だけでいい。


日常が騒がしかった分だけ、
きっととてつもなく静かだろう。

だから、今は外に出て行くのだ。
安定はやっぱりいらないや。

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