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2012年2月13日 (月)

one note

あっという間に2月も半ばにさしかかる。
飛ぶように時間が過ぎる。

柔らかい日差しがなんだか春のようだが、気温は相変わらず低く、風はとても冷たい。


実りのある時間は、その裏側に途方もない苦労を隠している。
どれだけの時間をかけ、どれだけ思い悩んだか、過ぎ去ってしまった今ではもう思い出すこともできない。

いつかきっといつかきっとと思いながら、たったワンフレーズか、あるいはたった一音か、それをひねり出すのに今でも執心しているが、誰にも届かなければ泡に等しい。

文字通り、浮かんで消える。


僕には、たった一音で視界が一変した経験がある。
今も覚えている。


音は水中にあれば、半永久的に振動を持続させる。

音楽に対する僕の意識は、水の中と同じ。
鳴り響く音を、あの感動の瞬間からずっと聴き続けている。


発音と同時にフロアにいる人たちからのフィードバックが返ってくる。
僕らはステージ上にあって、それを受け止め、また受け返す。
また返ってくる、受け返す。

そのやり取りに時間差が無くなった時、無くなったところ、そこが無限の可能性だと僕は思っている。


口にして言えることは月並みだ。
だから僕は結局物書きには成れなかった。

音なら口ほどにものを言えるか?
僕にはそれも難しい。


音楽が共通言語かって?
音楽が言語だなんて、そんな意味不明でロマンティックなもんじゃない。

でも、音を介した振幅が人の心を揺らすなら、それは言葉以上の伝達手段と成る。

人の祈りが見えるだろうか?
人の激しい感情が見えるだろうか?
人の息づかいが聴こえるだろうか?
人の鼓動が聴こえるだろうか?


まるでソナーのように心の動きをとらえて、想いが共鳴すれば、全てがいいグルーヴになる。
否定も反発も無い、純粋な享受、世界を変える力。


僕はまだ小さい。
僕らはまだ小さい。
何も知らない。

僕の音楽は飽くまでもタイニーミュージックだ。
が、僕を取り巻く仲間がそれを限界まで大きく広げていく。
楽器を手にし音を紡ぎ出すパフォーマーも、フロアで声を上げ身体を揺らすオーディエンスも、みな一体と成るからこそ。


神様など僕には降臨しない。
人が力をくれるのだ。


絆など存在しない。
間違ってくれるな、それはみな、もともと生まれ持った”繋がり”を自ら手放し、再び探そうとする、故意に特殊化した作業だ。


そんなもの、わざわざ名前など付けずとも、僕らは始めから持っているはずだ。

隣を見ればいい。
誰も同じ道など辿ってきてはいない。

が、共にビートに揺られているではないか。
時間と空間を共有しているではないか。


それが音楽だ。

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