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2011年12月 5日 (月)

足下の機

12/2(金)。

いくつかの演奏の日記を吹っ飛ばしている。
別にその日の演奏が悪かったとか、そういうネガティヴな理由で記さないのではなく、ただ単に己の器量を大幅に上回った事柄が起きた結果、意識的に記憶喪失にしてしまえというご都合主義的理由であると、言い訳にならない言い訳を誰にともなくしておくことにして、、、。


非常に寒い日だった。
朝から天気もすっきりしない。

曇天という言葉の響きの通り、僕の頭の中もど〜んと考えることが山積みで雲がかかっているようだ。
もはや午前中に何をしたか覚えていない。


昼からcubic star関連で事務所のレコーディングスタジオにミーティングに行った。
来年3月にシングルを出すという計画について、リミックス、新録、プロモーションの方法、ジャケットの案、経費、その他諸々、、、。

もはや僕の梅干し大の脳みそではパンク寸前である。
それでも、リミックス用のトラックごとの書き出しは予定がついた。

1曲を構成するトラック数は、、、思い出したくもない。

夕方、久しぶりに小川くんとリハーサル。
この日、深夜に町田のイベントに出演することになっていたが、そのためのリハーサルの日程を全く組むことができず、当日にばたばたと合わせをやった。

ま、おそらくいつもの曲をやるだろうし、さらっとおさらいするぐらいだろうと高をくくっていたが、僕は小川くんがどういう奴なのかをすっかり失念していた。

小川:今日、今までの曲のアレンジ違いを持ってきたんですよ。
僕 :ほうほう。
小川:打ち込みなんすけど。
僕 :どれどれ、聴かせて。
小川:はい、こんなふうにやって下さい。
僕 :、、、、こんなんできるかっっ!

といいつつも、できないというのはプライドが許さず、たった1時間半のリハーサルで鬼のようなブレイクビーツをやることになったわけだ。


最近練習している”プリペアドドラム(あらかじめスネアやその他の太鼓に何らかの仕掛けをした状態で演奏する)”がうまいこと機能して、まるでサイボーグのような音色が出来上がったところでリハーサル終了。

連日の疲れで、もう車を運転するはなからねむくてねむくて、、、。
ワーグナーを大音量で聴きながら町田に向かう。


演奏会場はいわゆるライブハウスで、BGMでメタルがかかっている。

僕と小川くんのデュオは音がとても繊細なので、マイクに音をのせる場合はPAとのやり取りが鍵になるのだけれども、BGMに似つかわしくないとてもいい腕と耳をしたPAさんでほっとした。


深夜のイベントにでるのはもう何年もなかったが、夜を支える演奏者たちは腕がいいというのを漠然とだけど常識だと僕はとらえていて、この夜もその通りだった。


後で聴いて驚いたんだが、この日のお客さんたちの大半がライブハウスに演奏を見に来たことのない人だったとか。

でも、音楽のことはとても好きで、当然お金を払って見に行くんだから良いものが、あるいは楽しいものが見られるという意識の元で集まっていた。

超満員のお客さんに、マニアックな演奏だったが楽しんでもらえてよかった。

いつも言ってることだけど、表現する側と受け取る側はその対ではじめて一つの存在だ。

パフォーマーはまず己の状態を常に分析しなければいけない義務があるし、またコミュニケーションである以上、そこに確固たる意志がなくてはならない。

受け手も同様に自らの意識を試される。

芸術は”ファッション”ではない。
それをやるやらないに関係なく、哲学として自分の中に取り入れることで人生が豊かになる、”理念”だ。

分かる分からないも関係ない。
触れて考えることで、少しずつ人生は豊かになっていってるはずだ。

”商品価値”というのは飽くまでも副産物で、そもそも宗教と同じように、芸術も本質的には資本主義にのせるものでものれるものでもない。


僕にとっては、言葉と同じように、ただ伝えたいことを日々の努力によって純化して発するだけだ。


苦悩し、辛いことがしばらく続いていたから、この日の小川くんとの演奏はこの上もなく楽しくて、心が少し軽くなった。
何気なく声をかけてくれた人たちの言葉もすごくあたたかいものだった。


膝をつき、もう駄目だと思うたびに訪れる、僕をここに引き止めるような出来事。
今までどれだけ見逃してきたんだろうか。

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