« 彩光 | トップページ | 世界 »

2011年12月20日 (火)

反旗

打楽器に対する世の中のイメージがどんなものかははっきりと分からないが、音楽に熟達しているとおぼしき連中でさえ”リズムマシーン的”だったり、”雰囲気作り専門”だったりのイメージが大半なようだから、それとさほど変わりはないだろう。

弦楽器全般、はたまた管楽器奏者に対して、打楽器奏者はいつも”うるさい者”扱いされ、不当な差別を受ける。
そこには旋律も無く、ハーモニーも無く、叩くという行為のみをあげて野蛮なものとみなされる傾向があるんじゃないか。


日本は、実のところとにかく複雑で多種多彩な太鼓が存在し、リズムも複雑なものが多い、太鼓大国である。
その数や歴史は調べあげればアフリカにだって劣らない。
つまり、本来打楽器に関する認識は、他のどの国の人たちよりも幅広いもののはずだ。

ならば、いくら西洋楽器が音楽の主を締める時代なったとて、その日本人としての感覚は体のどこかに秘めているはずなのに、それは西洋楽器を通してにじみ出てくるはずなのに、あっさりとなくしてしまっている。


12/18(日)。
起きたのは朝5時。
まだ夜が明けきらず、暗くていい天気かどうかも分からない。

千葉県の代表を決める、”アンサンブルコンテンスト”の県大会がこの日に行われ、僕はあるチームを応援しにいくことになっていた。

ふとしたきっかけから、小学校の打楽器アンサンブルの作曲を依頼されて作ったのだが、まぁ、僕の曲はいわゆる音楽エリートの作る曲では、当然ない。

不良の曲だと自分では思っている。
型にもはまらない、これといって作曲の勉強をしてきたわけでもない、掟破りぎりぎりのものだったろう。


僕は打楽器が好きかと聞かれれば、十中八九、そうでもないと答える。
理由は簡単で、全部同じような曲ばかりで、最後は筋トレのごとき、脳みそまで筋肉の高速連打に陥り、莫迦丸出しになるのが十中八九だからだ。

誤解の無いように再度言うけれども、飽くまでも例の莫迦丸出しは”十中八九”だ。

つまり十中一二(そんな言葉があればだが)は凄まじきほどにまで磨き上げられた個性と感性とを表現したものだということで、それは言うまでもなく、僕は大好きである。


打楽器に関する認識や理解は、管弦に対するそれに比べて数段落ちる。
メロディーやハーモニーは基本的に管弦のために研究され、逆に言えば管弦の構造によってメロディーもハーモニーも進歩していたと思われている。

クラシックでも、打楽器の導入は歴史的に浅い。

吹奏楽における打楽器奏者の扱われ方も、何となくそれなりのように僕には思える。
オーケストラのシンバル奏者がネタになるように、どこかその評価は低めだ。


曲を作るにあたって、you tubeなんかで、どんな曲が大会で演奏されるのかとかを調べてみたが、はっきりいってどれもつまらなかった。
管楽はとてもいいものが結構あるのに、打楽器のアンサンブルはただの叩き合いだ。


僕は、だからこそ新風を吹き込みたいと思った。

小学生という年頃は、いい意味で、まだ知らないことがたくさんある。
信じられるものの多くが覆されても、すぐに受け入れられる年頃だと思う。

4人の女の子によって構成されたグループを、僕は小さな革命家に仕立て上げようと、こっそりと計画を練ったわけだ。


曲を作った当初、やっぱり既存の曲とあまりにも違うためにイメージがうまく伝わらず、いわゆる”勝ち曲”にはなり得ないとも言われたが、僕はかたくなにそうではないと信じた。
僕には完成図が見えている。

チームが千葉市の代表に選ばれてから先、演奏力とともに曲の表情は明確になった。
子どもたちも先生たちも、とにかくよく練習し、理解してくれた。

僕の見えていた完成図はおそらく間違っていなかった。
これは”勝ち曲”たり得るし、新しい打楽器アンサンブルの可能性を示せる。


なにより、”小さな錬金術師”と題した僕の曲を持って、まさに錬金術師よろしく、子どもたちが錬金術でもって打楽器アンサンブルの新しい可能性を示す革命軍へと知らず知らずになっていくのが、僕には痛快だった。


県大会。
ホールに学校名と作曲者名、編曲者名がアナウンスされる。
緊張はマックス。

手に汗握りながら子どもたちを見守ったが、当の子どもたちは不安な様子は微塵も無く、堂々とやってのけた。


千葉は吹奏楽激戦区。
その中でも異彩を放っていた。
映画のワンシーンを切り取ったような曲は、彼女たちによって音だけの世界から一気に映像化されたようだ。


緊張は大人だけのもの。
結果発表までの時間が腹を壊しそうなほど長く感じられた。

子どもたちはやりきったといういい表情で、”今までありがとうございました”と、僕らに言葉を残した。
おいおい、これで終わりかよ(笑)!!
必ず先があるぞ!

cubic starのリハーサルが入っていたために、結果発表は移動の車の中で聞いた。
激戦を切り抜けて、子どもたちは見事に千葉県代表に選ばれ、東関東地区大会に駒を進めた。

初出場だったそうだ。
まさに快挙。


結果を聞いたときの彼女らの顔が頭に浮かんだ。
一緒にいたかったな。

そんなわけだから、なんとしても次の決勝で、その笑顔見ることにしようと思う。

決戦は1/21、宇都宮。
狙うは金賞。
約束通り、勝ってみんなで餃子を食べまくるぜ。


既存のイメージに反旗を翻す。

|

« 彩光 | トップページ | 世界 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/482886/43439000

この記事へのトラックバック一覧です: 反旗:

« 彩光 | トップページ | 世界 »