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2011年11月 4日 (金)

quiet night(後編)

まだ、10/30(日)。

日が暮れてきた。
オチャノバに2日間お世話になりっぱなし。


二階でうとうとしているとコーヒーを出してくれた。

仕事、作業をするときは、コーヒー。
寝覚めの一杯もコーヒー。
さぁ、やるぞと出陣前もコーヒー。
じゃ、寝るかで、歯を磨く前もコーヒー。

要はコーヒー。
須藤さんは職人技でカフェラテにたくさんの絵を描いてくれた。


オチャノバのある古河は、意外と都心からでもすんなり行ける。
足を運ぶだけで幸せになれるだろう。
僕はとても幸せになったから。
http://ocha-nova.com/







17時。
もう日が落ちるのが早くなってしまった。


茨城古河の2日目の夜は、spiderというライブハウスでcubic starのライブ。
昨晩とはうってかわって、大音量の大編成。
オチャノバでメンバーと合流して、ゆるゆるとライブハウス入り。


久々の未開の地。
僕は緊張していたのか、不安だったのか。
サウンドチェックの際の、みんなの音をよく聞き取れなかった。

バランスの指示を出せないでいる僕を、メンバー全員の協力が救ってくれた。

時期もハロウィンってことで、仮装道具を持って来ていた。
無名の僕らにできることは、せめてお祭りをやることぐらいだと考えた。

水戸で3月の震災にあった友人が呼んでくれたのだ、少しでも元気になってほしい。
自分ばかりが不安ではないだろう。
楽しくやりたかった。


思いのほか仮装は評判よかった。
メンバーも対バンの人たちもみんな楽しんだ。


僕らの演奏は1時間のロングセット。
2ndアルバム”promised land”のほとんどの曲をやり、加えてアルバム未収録の”across the Rubicon”(いつも見に来てくれる人の間ではすっかりお馴染みになっているが)、さらにはビートルズのカヴァー”yellow submarine”まで。


サウンドチェックのときの不安が嘘のようだ。

メンバー一人一人のパフォーマンス時の集中力は、かつてないほどに向上している。
難曲を難なくこなし、さらに個々人のオリジナリティーまで叩き込んでくる。

聴いてくれる人も楽しんでくれていて、僕は素直に嬉しかったし、何よりとにかく楽しかった。


昨夜”やちよに”をオチャノバで見てくれたお客さんが二人、また見にきてくれた。
たった一晩、短い時間でありながらも、僕らの音楽に興味を持ってくれた人がいるなんてことは全くもって奇跡だ。

”好きだ”という素直な感想が胸に沁みた。
これだけでいいんだ。
これが言われたいんだ。
だからもっと作り出そうという力が湧いてくる。

感謝のしようがないから、僕らは再びさらにいいものを作って古河に戻ってくることを約束した。


僕を呼んでくれた坂本さんのバンドが場を締めてくれた。
いいバンドだった。


打ち上げもいいムードだ。
誰もが楽しそうというのは、ほんとにうれしいこと。

僕と坂本さんは久々の再会を噛み締めながら、積もる話をした。

作家はいつも孤独だ。
人である以上、無理解は恐怖だ。
全くの他人ならまだしも、メンバーや近しい友人がもしも理解してくれなかったら、一体自分という存在は何なのかと虚しくなってしまう。


日々技を磨き、様々な表現方法を手に入れたいと思うとき、一番に思いつくのはまずはメンバーであり仲間であり近しい友人のことだ。

彼らに認めてほしい。
理解してほしい。

それができてはじめて、僕の想像するものは外の世界の、より多くの人に向けられる。


理解者がいないことへの不安や焦りはずっとずっと感じてきた。
日常生活におけるレベルでそれがつきまとう。
今も、この先もそうだろう。

それでも”理解”を望みたい。
分かり合える時が来る。

ただ、そう信じていると、僕は坂本さんに話した。
彼の孤独も僕のそれとかわらなかった。


相方の太鼓の斉藤功が、僕を指差して笑っている。
”慢性疲労〜〜”だとっ!
どうにもおかしくて、僕も大笑いした。

そういう仲間に恵まれたかったのだ。
深刻なこともあっさりと笑い飛ばしてくれる。


彼らは僕をもう一人にしないのかもしれない。

僕の想像を、誰よりも速く緻密に理解してくれるかもしれない。
そんで、彼らは僕に、彼らの新しい応えを投げ返してくれるだろう。


”いたずらにする? それとも僕らに施し物をするかい?”
はは、化け物は一年中、僕のそばにいたわけだ。

こんなふうに。
438065122

追伸。
3月の震災を目の当たりにしながら、そのとき僕ら音楽家は非力にも祈ることしかできなかった。
水戸の友人を励ますようにと、もともと”祈り”をテーマにして書き上げた”RE: streams from the promised land”を演奏したのだけど、空の彼方まで届いただろうか。

僕がこの曲を書いたとき、僕の精神状態はいろいろな意味で限界だった。
書き上げ、レコーディングが終わったとき、僕はコンソールルームで大切な人の死を知らされた。
祈りだったはずが、いわく付きの曲になっている。

祈りは、生者の傲慢なのだろうか。
今もなお疑問が離れない。
それでやはりまた祈るばかりだ。

変えなきゃいけないものを変えなきゃいけない。


いかされているのだ、僕は。
感謝。

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