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2011年10月23日 (日)

like a monster

10/14(金)。

長袖のジャケットを羽織ると、うっすら汗をかく。
天気は晴れから夕方には雨になるそうだ、そんな予報だった。


朝が早かったのか、それとも眠れなかったのか。
張りつめていたのだろうか、今となっては分からないけど、寝室から出るのが億劫だった。

何を伝え、何を受け取るのか、何一つ予想が付けられず、自分の価値観が一気に揺らぐ。
そんな経験はそうあることじゃない。
数時間後に僕は、その一番大きな波を受けることになる。


月に一度”深山健太郎トリオ”で演奏させてもらっている学芸大学のレストラン、オステリアジャポネーゼで、役者の柴俊夫さんに出会ったことがきっかけで、柴さんの”こどものための柴基金”によるチャリティーコンサートに出ることになったのだ。

そのお誘いが、5月ぐらいだったか。
あっという間に約半年が経った。

リーダーの健太郎さんは、それはとてもとても責任感を感じていただろう。
なんせ、最終的にはゴダイゴのギタリストである浅野さんまでバンドに加わってしまったからだ。

大きくなっていくプロジェクトを支えるには、相当な体力と気力がいる。

僕は健太郎さんの努力と気合いを目の当たりにして、自分ができることを考えながら、リーダーとしての器の違いを噛み締めていた。


朝11時に日本橋にある三井ホールに入る。

浅野さんと初対面、握手とあいさつ。
あったかくて大きな手、優しそうな笑顔。


機材を搬入するメンバーは他のメンバーよりも入り時間が早く、ステージセットを組むスタッフさんと一緒になって機材を組んでいった。

スタッフさんは、この日舞台をともにする松崎しげるさんのとこのスタッフ。
みんなとても明るくて、さわやか。

ともに今日のイベントを大成功に導こうという思いで一杯だ。


ステージから見る客席最後列はとても遠い。
約700人でこの会場が埋まる。
チケットは完売。





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ステージ組が終わって軽食をとってから、松崎さんのリハーサルを見ていた。
なか音を作るPAさんは若手だったにもかかわらず、松崎さんは熱心に音の様子を伝え、優しく柔軟に対応していく。

若手のPAさんはおそらく、プレッシャーよりも、松崎さんによって導かれながら良い音が構築されていくことに対するワクワクでいっぱいだっただろう。

一流の表現者は、人を育てくことにかけても一流だということを知った。


僕らのサウンドチェックもワクワクだった。
その音のよさも、PAさんが真剣に音を作ったくれたおかげだ。

その後にサウンドチェックをおこなった、元劇団四季の石丸幹二さん、ソプラニスタの岡本知高さんも、ステージ脇ではあたたかく大きな存在という感じだったが、いざステージに上がると、それは表現力の結晶のごとき火の玉のような、まさに怪物と化した。

圧倒的な存在感と放射されるエネルギーをこんな間近で受けられることが、どれほど興奮することか。

子どもみたいにホール探検をしていると、通路で柴さんに会った。
僕が柴さんに会うのはテレビのなかの役者としての柴さんか、いつものレストランでくつろいでいる柴さん。

この日の柴さんは、またいつもの柴さんと違った。
やっぱり、コンサートを成功に導こうという主催者のエネルギーをもっている。

にこりと笑うと、ハグ。
父のような存在感。


出演までの時間のなかで、いろんな人に会った。
それだけでも大きなことなのに、不思議と”もっともっと”と飢えが湧くものだ。


僕らは一番手で演奏。
ステージから客席はよく見えない。
ただ夜の海みたいに、吸い込まれるように、特殊なエネルギーをたたえているという感じ。


緊張は全くなかった。
むしろ、体全体が力を発したくてうずうずしていた。


曲が終わってはじめて客席が見えた。
歓声が聞こえる。
しかもどこから聞こえてくるのか、その場所まで分かる。

錯視かもしれないが、声をかけてくれる人たちの、拍手をくれる人たちの顔がはっきりと見えたような気がした。

”パフォーマーと目があった”って経験を口にする人がいるが、あながち嘘ではないようだ。
僕らはステージに上がり、感覚は異常に研ぎすまされている。

この世界を感じたかったのだ。

意見を言う代弁者としての責任、価値観も哲学も越えて共有する時間。
一体になってはじめて起こるエネルギーのフィードバック。


自分一人が蜘蛛の糸を上るようにこの力を感じていてはいけないと、直感的に思った。
僕も、健太郎さんや柴さんのように、仲間をこのレベルに導かなきゃならない。


曲を追うごとに、より鮮明にこの空間にいる人たちの顔が見えてきた。
学大のコミュニティーが、そのままこの大舞台になったみたいで、嬉しかった。


演奏者である僕らだけがビッグステージに立ったのではないと思っている。
オステリアの仲間全員でこの場に立った、そういうことだ。
そのことがとてつもなく嬉しいのだ。
仲間全員で空間を作ったのだと思うと、そりゃ巨大な力になるはずだ。


僕個人はまだまだアンダーグラウンドで戦い続けることをしばらく余儀なくされるだろうけど、ひとつ、山のてっぺんを見た。
目標をロックオンできれば、そこまでの経路を設計できるはずだ。


絶対にもう一度こういうところに立たなければいけない。
共有こそ芸術の真の姿だ。
再び仲間とともにここに立ちたい。

たくさん良い曲を作んなきゃな。
大人にもならなきゃな。


この日集まった人たちによってなされた巨額の募金は、難病やDVに苦しむアジアの子どもたち、震災で失意のなかにいる子どもたちに送られた。
どうか少しでも平穏な日々が訪れますように。

パフォーマンスは、自己満足が終着点ではない。
日々の訓練によって自分を磨き上げ、意志の力でもって自らの意見を言う。
賛同されればよし、ときには批難のリスクもある。

それでも立ち続けるから、力が生まれるのだ。
もはや自分個人の楽しみではない。
そこに行き着くべきところがある。

行かなきゃいけない、上まで。


責任をもって、たくさんの感謝をしていきたい。
大きな機会を与えたくださった柴さん、健太郎さんをはじめ、共演者の方々、、、。
なんといいますか、その、ありがとうじゃなんか違う感じがするから、え〜っと、、、、。


かたじけない、、、?


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コメント

最高だったよ! 素晴らしい仲間と素晴らしい演奏、そして素晴らしいスタッフと素晴らしいオーディエンス! 
ミュージシャン冥利に尽きる夜でした。


くせになるな、ホール(笑)。

投稿: Kentaro | 2011年10月24日 (月) 11時39分

>けんたろさん
ね、最高でしたっ!
たくさんの機会をくれたこと、感謝しきれないくらい感謝してます!

けんたろさん、ラブっっ!

投稿: よしじも | 2011年10月26日 (水) 23時51分

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