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2011年9月14日 (水)

Fire!

9/13(火)。
残暑の炎天下、車に荷物を積み込む。


もう半年前になるのか。
突然送られてきた一通のメールから始まって、9月に至る。

cubic star minimal orchestraの、メジャー傘下の事務所とのバトルの始まりは7月からだった。
7月からの3ヶ月間、新人選考ライブに参加して、生き残ることがミッションだ。


前にもいったと思うけど、僕は迷った。

果たして今のメジャーシーンなんかに何かしらの魅力があるのか。
僕ら世代の若いメジャーミュージシャンはもうすでに焼き増しの連続で、自分たちの言葉も持ち合わせていない。

ましてや、cubic starはインストだ。
歌詞はない。
さらにインプロヴィゼーションを主体とした難解な部類の音楽で、ポップなフュージョンなんかとも違うし、ロックやダンスミュージックとも違う。

ジャンルのつけようがない、自分たちでもこのジャンルがなんなのか分からない、営業屋からすれば最も営業のかけ辛い、いわばガラクタのようなものかもしれない。


自由な発想がガラクタを宝物に変えるように、僕はただ、今までにないバランスでとにかく僕らの表現を作り上げたかった。
でも、もしかしたら、それはグループ全員の夢ではないかもしれない。
僕個人の夢であるかもしれない。

3ヶ月間、僕はずっとそう考えてきた。

たった3回なのに、僕はその間イライラしたり、焦ったり、どうにかしたいともがいたり、とにかく僕がみんなを巻き込むのだから、僕が全ての責任を負わなければと思い込んでいた。


2回目までを終えてたくさんのミュージシャンが消えた。
消えた分の穴埋めのように次の新人が入ってくる。
また消える。
その繰り返し。


僕は事務所のチーフマネージャーに、一番最初に言われていたのだ。
”全て食って、勝ち残れ”と。

はじめ、僕はそれを冗談だと思っていた。
どのバンドにもどうせそういっているのだと思っていた。

”厳しさ”というのは、僕にとっては”営業屋が音楽を操作するけれども、それでもやっていかないと食っていけないぞ、それでもいいのか?”というものだと思っていた。

それは僕らのやることではないし、それで食えるようになることなんて本気で糞食らえだ。
”厳しい”の内容がそんなものなら死んでも屈しないと、最初から決めていたことだ。


しかし、僕らが受けた勝負には、正しい”厳しさ”があった。

”意志なきもの、力なきものは去れ”だ。


僕は負けることは怖いと思っていない。
勝つまで戦えば済むことだ。

そんなことより、力を尽くして戦えないことの方がものすごく嫌だ。


3回目の日。
cubic starの足並みはぴたりとあったと僕は実感した。
このバンドが大きくなることはメンバー全員の夢だ。
力が遺憾なく発揮できて、その場にいる人たちに正しく浸透した。


気付かないうちに、この3ヶ月で僕らはたくさんの期待と支援を集めていたのだ。

お客さんは、僕らと創造の冒険をする仲間になっていた。
彼らの一挙手一投足が僕らの音楽を変幻自在なものにする。
客席のグルーヴを即座に感じて、僕らの演奏は生き物のようにその場で呼吸するのだ。

専任の照明もメンバーに加わった。
即興によって変化する予測不可能な構成に対して、完璧にライティングを変えていけるメンバーがグループに加わることで、僕らのステージはより有機的になった。
彼ももはやパフォーマーの一人なのだ。

僕らの音楽を広めようと、いつもそのことを考えてくれる人がいる。
もっと深く僕らの考えを知ろうと、積極的にコミュニケーションをとる。

世代も超えた。
いろんな世代の人たちが、言葉のないcubic starの世界に共感してくれた。

ミュージシャン仲間が言ってくれた。
”行け”と。
新陳代謝の止まりかけたシーンに活力を取り戻してくれと、僕らに期待し、頼りにしてくれる。


事務所が言った。
”ビッグステージに立て”と。
一緒に観客を熱狂させようと、ともに大仕事を成し遂げて、ともに笑おうと。
まだ、業界にも熱のある人たちがいる。
で、そんな人たちに出会えた。

条件は揃った。
僕らは、音楽の持つ”芸術”という側面を、あるべき姿に戻し、元あったところに返す。
かつて、マイルスデイヴィスがそうしたように。

創造性と自由だ。

刺激と混沌と模倣があるべき姿じゃない。
元あった場所じゃない。

8人を核に意志を貫く。
周りも動き出したことが手に取るように分かる。


火がついたここからが勝負。
みんなの力が必要なのだ。

核になる僕らは、もっと魅力的にならねばならず、もっと求心力が必要だ。

強い意志の力で磨き上げられた普遍性を、僕らは手に入れなければならない。


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