« 宇宙旅行 | トップページ | VS »

2011年5月23日 (月)

漂流者

5/22。


始まりは、もういつだったか。
結成したときは今とは全く違う編成で、やりたいことができず、やきもきしていた。
頭の中にあるものをメンバーと共有できず、一度は解散したのだ。

再び同じ名を冠して立ち上がったときには、ドラムとベースがそれぞれ2人ずつ、ギターとキーボードを加えての計6人。
ダブルトリオ編成という、自分の中でもとても難しい編成になっていた。

作曲の勉強はここから始まったといっていい。
既成の参考音源がなく、民族音楽の隅々とエレクトロニカやロックの新しいリズムの分析をして、クラシックの緻密なメロディーや祈りに通じる聖歌まで聴きあさって、ようやくかたちができた頃には、今度はタップダンスを引き入れていた。

ブロードウェイのタップダンサーに関することといろいろ調べ、ダンスとしてではなく打楽器として、土着な雰囲気ではなく緻密なリズムの一部として、タップの音を組み込むのためにどうするべきかを毎日毎日考えた。


それがcubic star minimal orchestraの今を作っている。


今から約4年半前、そのcubic starで始めたイベントが"star tripper"だった。

イベントだからといっていつも出演バンドを変えるわけではなく、大きな編成と考えて、いつも同じメンツでやればそこに成長があるはずという思いで、このイベントは発足した。


concertmaster、ガリレオの案(現もんごり庵カレー)、gargle、小川晃一(元channa)そしてcubic star。


ビジネスばかりでいっこうに進歩のないメジャーシーンに対する、あるいはアンダーグラウンドに固執して、現状に対してなんの打開策も見いださないインディーシーンに対する反抗でもあったのだ。

どんな非難が来たってかまわなかったし、今もかまわない。


創造性の自由を自分たちの手元に取り戻すための、小さな戦いだった。

そのイベントが今回で9回目を迎えた。


山あり谷ありで、バンドのリーダーであり、このイベントの総責任者である僕は、ほんとに全員にどれだけ迷惑をかけたか知れない。

地下に潜ることを余儀なくされながらも、素晴らしい想像力とエネルギーで今もなお音楽を作り続ける彼らからはいつもたくさんパワーをもらう。

僕は、彼らを光の当たる場所へなんとしても引っ張りだしたいのだ。


そして毎回のように来てくれるお客さん。
もはやただのお客とか、そんな関係性じゃなく、僕らとともに小さな反抗を企てる冒険者だと思っている。


凄まじく熱のこもったイベントだった。

どのバンドにも間違いなく成長があって、ともにこのイベントを盛り上げてきたお客さんたちも自然なつながりができていた。


このイベントの10回目を前に、僕は一つの決断をした。
cubic starでメジャーレーベルと接近戦をすること。

オファーが来て、散々迷ったあげく、話に乗った。
まだ、デビューという訳ではない。
そのシーンで戦う権利を得た。

戦争するにも権利のいる世界だ。

あれだけ憎んでいたシーンでのバトルを受けたのは、他でもない、”けものみち”を作るためだ。

きっとcubic starで戦い抜けば、そこに道ができる。
僕が大事にしてきたstar tripperの面々やその他たくさんの想像力にあふれたバンドが、音楽が、そのならされた道を歩き、必ず一緒に戦う大きな力になってくれると信じている。


勝負は困難を極めるだろう。
僕は、どこまでメンバーを巻き込むべきなのか、未だに孤独な迷いのなかにいる。

1年という勝負期間でも、負け続ければ、1年以内に空中分解だってあり得る。
仮に分解しなかったとしても、敗者がどのつら下げて応援してくれたみんなの元に帰ればいいのか。
そのとき僕は、メンバーに対して何を言えばいいのか。

周囲のみんなは”この1年での結果が全てではないから、もしもこれで結果が出せなくても、長く続ければいい”といってくれた。

この言葉に溺れそうになる。
が、僕にはもう答えがある。

断固、勝ち進んで、活動を続ける。
この一点だけ。
敗走はしない。

必ず、力をつけて、今いる場所へ戻ってくる。
大好きな人たちと大好きな音楽を繋げるためだ。

打ち上げの席で、友人から夢をきかれた。
僕の夢は、こうして一緒にイベントをやってきた仲間や僕に関わる全ての人の表現に光を当てる道を作ることだと答えた。


飲み屋の大広間を貸し切っている。
向こう側の席では、初めて来たときは人見知りで口数の少ないお客さんだった人が、話に花を咲かせて大笑いしてる声が聞こえる。
このイベントで出会った人たちが繋がってきた証。


僕らはみな、漂流者。
でも、もはや独りではない。

|

« 宇宙旅行 | トップページ | VS »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/482886/40103829

この記事へのトラックバック一覧です: 漂流者:

« 宇宙旅行 | トップページ | VS »