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2011年3月 2日 (水)

rain drops keep falling

3/1、夜は雨になった。

気圧と慢性疲労のせいでうまく起きれず、寝室でもぞもぞと本を読んだりアレンジを考えたりしてたけど、さすがにそのまま一日が終わるのはどうかと思って、電話をした。

もともとcubic starで一緒にドラムをやってたショウゴが電話の相手。

いつも予定が合わなくて、気づいたらほんとにまるまる一年が経っていた。


一度目の電話に彼は出なかった。
今日もタイミング悪かったかなと思って寝室に戻ると電話が鳴った。

さしで飲むことになった。


夜8時。
溝ノ口で待ち合わせ。

僕も彼も時間より早い時間に着いた。
一年ぶりにあうショウゴは全く変わってなかったし、彼から見た僕も全く変わっていないようだった。


駅の近くの小さなもつ鍋屋で飲むことにした。
外は雨がよく降っている。


彼がバンドをやめると言った1年前のその日も雨だった。
その夜はほんとに悔しかった。

今でも悔しく思う。

僕はそのバンドのリーダーだ。
でも、メンバーに対して何もしてあげられなかった。
生活のたしになるようなお金も与えることは出来ず、結局のところ僕自身に力がないせいで、僕は彼をつなぎ止められなかった。

彼は”それは違う”と言ったが、もしあのときこのバンドで演奏することで何らかの収益があって、それが少しでも生活のたしになっていたなら、実際には道を違えずに、今も横にドラムセットを並べてお互いに腕を磨き合っていただろうと、僕はそう思っている。

あの日から1年。
いろいろなことをお酒を飲みながら話した。
ショウゴはビール、僕はウイスキー。


音大時代の話になった。
大学に入る前の年の夏、僕らはオープンキャンパスで出会った。

彼は高校生、僕は社会人。
手も足もよく動く奴で、意気投合して、練習の仕方とかを教えてもらった。

音大に入ってからもよく一緒に遊びにいったし、同じ師匠の門下だったから、あったかい日には外にパットを持ち出して隣に並べて、同じ課題の譜面を見ながらよく動きの研究なんかもやった。

ダブルドラムのバンドがやってみたくて、彼を誘ってバンドを組んで、いろんなところで演奏をした。


大変だったねぇ、とか話しながら、杯数を重ねる。


一緒に演奏した数年間、僕はそのときに今のスタイルの9割を築いたけど、それはショウゴとともに演奏するために身につけた奏法だったりする。

トリッキーな拍の取り方、変拍子、カウベルやおもちゃの使い方。
全部ショウゴがいてこそのセットだった。


当時よく彼と音楽の話をしたけど、飲んでる最中に彼が一言、
”今ここに来て、ようやくあのときよしじまくんが言ってたことが分かってきたわ”
ぼそっと言ったものである。


僕はじんと来た。

なぜ彼を好きなのかというと、彼が、”考える続ける奴”だからだ。
その結果、一度は道を分けてしまったけど、それでもまたこうしてお互いに理解し合う時が来た。


それからはずっと太鼓屋の話。
音の小さい太鼓屋がいかに少ないかということ。
僕ら二人は、しっかりとお師匠の教えを考えてきた。

僕も彼も、音大での一番最初の授業にいわれたことは、
”音がでかくてうるさい”
ただそれだけ。

二人ともず〜っとそれを言われ続けてきた。

サンバキックもシンバルレガートも、振れ幅1ミリを目指して、それでも芯のある音になるようにと、馬鹿みたいに練習した。それも、一緒に、横にならんで。

そんな話で大笑いした。


ショウゴが在籍したcubic starの2ndアルバムをやっと渡すことが出来た。
彼がこのバンドのために残した音をとにかくいいものにしたくて、すごい長い時間をかけてほぼエンジニアさんと二人でミックスしたのも、もうだいぶ前のこと。


すごい音になったね。

そうでしょ?


このふた言で事足りる。
風景が浮かぶ音楽だと彼は言った。

曲こそ作らないものの、僕は、彼は優れた芸術家であると思っている。
決して演奏屋では収まらない。


終電ぎりぎりまで飲んで飲んで、一緒にシンバルとスネアを買いにいこうと約束した。


音大に入ったばかりの頃、二人でお茶の水に楽器を買いにいったときみたいに。
あの日も雨が降っていた。

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