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2011年1月10日 (月)

2000年代の10選(後編)

後編です。

tortoise
2001 standards
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”音響派”いう言葉が広まったのは、トータスの異常なまでの音像にこだわる姿勢によるものだろうが、その音像の究極のスタンダードがアルバム”standards”。
アメリカの国旗をジャケットに掲げ、”アメリカが世界のスタンダードか?”という提議を含みながら、アナログ・デジタルの双方のいいところを巧みに使い分けて、楽曲面でもアフリカンビート、ロックビート、果てはエレクトロニクスまで、民族性のるつぼと化したアート作品を作り上げた。
現在のようなダウンロード主流の音楽のあり方では、コンセプトアルバムは非常に作りづらい。
1曲単位ではなく、アルバムひと作品を通して表現に触れることが必要だからだ。
長尺のアルバムが近年あまり見られないのも、ダウンロードによる配信が原因だろう。
トータスはこのアルバム後の"it's all around you"もすばらしい。

matmos
2001 a chance to cut is a chance to cure
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デジタルテクノロジーが発達すると、音楽の作り方も大きく変わってくる。
ovalやaphex twinのような電子音響も新しい音楽のあり方だった。
matmosはその技術を生かして、サンプリングによって音楽全体を作り上げる。
ギターはギター、ドラムはドラムというようなイメージ通りの音ではなく、音そのものを哲学して、それに意味を与える。ちなみにこのアルバムに関しては、手術室でサンプリングされた音が中心になって音楽が出来ている。
テクノ的な手法と今のテクノロジーの融合で、無国籍なサウンドを生み出した。
bjorkのトラックメイクも彼らによるもの。


ethan rose
2006 ceiling songs
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イーサンローズもまたサンプリングの名手。
音の編集がより緻密にできるようになったことで、どんな小さな音でも組み込んで意味合いを出せば、こんな音楽が作れるのかとただただ驚いた。
日常にあるものが非日常の音を作り出していることに気づいたイーサンの音世界は、特殊でありながらどこか古いフォークソングのようなメロディーにも聴こえる。
ノイズを操ってはいるものの、ノイズミュージックとは遠く遠くにある存在になった、一つの完成型のようにも思える。

gretchen parlato
2009 in a dream
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あまりのバランスのよさに、どこに位置づけしていいのかわからないものってのが時々あるけれど、それがまさにグレッチェンの音楽。
南米のリズムが主体なのかと思うとそうでもなく、アフリカのリズムだけにもよらず、メロディーはとてつもなく洗練されている。
”in a dream”の方を10選の一つに挙げるが、1stの”gretchen parlato”を聴かなければ、その根底にあるものがなんだったかはわからないだろう。
”in a dream”では複雑なリズムをやや抑えて、オリジナルの曲を中心に聴かせている。あまりにも自然であるために、ものすごく良質のポップスであると認識するだろうけど、それはそれは、、、毎日聴いても発見があるし、この民族性の自然浸透は凄い。

alasnoaxis( jim black )
2002 splay
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どれだけの人が知っているかはわからないが、ついこの頃、”ブルックリン派”という言葉を耳にすることが増えた。これがまた不思議な連中で、とにかく民族性はごちゃ混ぜ、根っこがどこにあるかわからない。
ブルックリンは芸術家が住む町として有名だけど、少し前に”ダウンタウン派”と呼ばれる連中がいた。おそらくブルックリン派の根っこはここじゃないかと思う。
その筆頭が僕の中ではジムブラックを中心としたアラスノーアクシス。
そもそも彼らはジャズミュージシャンなんだけど、驚くべき音像の1stアルバムを作っている。
マイブラッディーバレンタインやソニックユースに目を向けたジャズ屋が、本気でそっちを好きになるとこんな音楽になる。
それが2ndの”splay”。
ジャズのように歌にそったリズム感と、ロックが生み出すノイズが不思議なバランスで成立している。
はっきりと二つのジャンルの架け橋になれる存在で、ほんとにおいしいところだけを思いっきり凝縮。これが凄い。
その後、ユダヤの音楽やミニマルを取り入れてどんどん深みを増し、2009年に ”houseplant”を発表。

以上である。
みなさんの10選はどうでしたか?
こうやって考えて聞き返すと、時代の意思に親近感を覚えられるかもしれません。

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